就職率97%の売り手市場は本当か? 就職率と実就職率の違いとは?

就活イメージ

 

2016年4月入社の大学生の就職率は過去最高だったと言われています。過去就職氷河期ともいわれた時代には終わりをつげ、選ばなければどこか就職先はあるともいわれています。

 

実際に文部科学省が発表した就職率は、97.3%と非常に高い数字になっています。ただし、100%ではないわけですから、就職ができない学生も一定数存在します。これは過去も現在も変わりません。

 

それよりも今なお6月になろうかという時期でも、大学を卒業して就職先を探している学生もいることも事実です。こうなると文科省の発表した就職率は本当なのかという疑問もおこります。

 

果たして本当に売り手市場だったのか?就職率は「実就職率」という数字もありますから、より正確に見るには両者の数字を見る必要があります。

 

 

就職率と実就職率の違い

 

一般的によく目にする就職率。学生にとっては、その年の就職率は気になる数字です。日本では新卒採用を重んじる傾向がありますから、卒業時に就職率が高いか低いかはとても重要になります。

 

就職率とは、就職希望者に対する就職者の割合になります。

 

大学生の2016年4月入社での就職率は、史上最高の97.3%でしたから比較的希望の職業につきやすかった年だったといえます。

 

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ただこの数字ですが、単純に全大学生が例えば100人だったとしたら、97人が就職できたというわけではありません。あくまでも“就職希望者”だけを対象としているからです。

 

つまり、就職を希望していないものは含まれていないわけです。もし就職を希望していない人が多ければ、大学を卒業したけど就職ができない学生は、数字以上にたくさんいることになります。

 

就職率という統計の他に、「実就職率」という統計があります。似たような言葉ですが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか?

 

文部科学省の発表する就職率の分母は、“就職希望者”です。この数字には、もちろん大学院への進学者は含みませんし、さらに就職する意思がない人は含まれていません。

 

就職する意思がない人とはどのような人かといえば、まず健康状態や精神状態がすぐれないため、就職活動をしていない人たちが含まれます。

また、当面アルバイトと食いつなだり、フリーターで自由に生活したいような人も含まれることになりますし、女子学生で結婚をするとか、就職をせずに家事手伝いをするような人も含まれます。

 

そのため、これらの人がたくさんいても、就職者希望者として就職率の分母に含まれないため、就職率は高い数字になります。

 

一方、実就職率とは、卒業生総数から大学院進学者を差し引いた数を分母としています。そのため、フリーターなど上記で紹介したような人も含まれますし、海外などへ語学留学するような人も分母に入る事になります。

 

このように実就職率は、就職率と比べて分母が大きくなるので、文部科学省の発表する就職率と比べて数字が低くなります。本当は、この実就職率をみたほうが正確な就職情勢もわかると思いのですが。

 

例えば、不景気になればフリーターなどに甘んじる人は増えるでしょうし、その数字も含まれなければ正確には実態を反映していないともいえます。

 

就職率は現役大学生だけでなく、これから大学を目指す高校生やその保護者などにとっても気になる数字です。特に大学別の就職率は志望校を選ぶ上での一つの大きな数字になっています。

 

マスコミなどで発表する数字には、実就職率を元に割り出した数字もありますので、その数字が就職率なのか、それとも実就職率なのかを気にしたほうが良いでしょう。

 

 

就職留年という問題

 

就職留年する人が増えています。就職留年は、卒業までに就職ができないために、あえて留年するというものです。

 

大学生の就職には、新卒者が有利なために、このようなおかしなことが起こることになっています。しかも、就職留年を支援する大学も年々増えています。

 

例えばある大学では、就職留年をする学生の授業料を特別な価格にしたりしています。う~ん非常に謎なシステムです。就職留年をして、何か研究でもすればよいのでしょうが、結局は就職のためですから。

 

確かに日本の企業は、大学生の採用に関して、新卒だけに限定している場合が多いです。しかし、このようなおかしな状態でも新卒にこだわる意味がわかりません。

 

企業によっては、新卒にこだわらず、既卒生にも門戸を開いています。結局のところ新卒にこだわるのは、大学で何を学んだか、その学びが仕事に直結しないことが大きな原因のような気がします。

 

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