日本とアジア諸国の高齢化が深刻 今後訪れる介護の国際化
日本ではご存知のように高齢化が急速に進んでいます。
現在は65歳以上の人口比率が2015年で26.7%になり世界一の「超高齢社会」に日本は突入しています。
日本は戦後急速な経済発展によって、人口も急激に増えました。
また、医療の進歩などによって寿命も伸びています。その結果が高齢化社会の進展ですが、欧米などと比べるとそのスピードは格段に速いです。
この現象は日本だけのものかと思いきや、実は周辺のアジア諸国では今後深刻な事態が想定される国もあります。
また、介護の人材不足で外国人介護福祉士を積極的に導入しようという動きもあります。
今後は“介護の輸入と輸出”という国際化が急速に進展する可能性があります。
日本では介護の人材が不足している
日本では現在介護の人材がとても不足しています。
超高齢化社会によって、介護の必要なお年寄りは増え続けています。
現在は、景気が以前と比べると若干回復したこともあり、元々不人気だった介護業界は深刻な人手不足におちいっています。
まずこちらのニュースですが、介護の専門家として期待されている介護福祉士の希望者が激減しています。
介護福祉士、希望者が半減 受験資格に450時間の研修 – ライブドアニュース
介護福祉士を志す人が激減している事は様々な要因がありますが、まずは介護現場の劣悪な職場環境の影響は大きいでしょう。
介護の仕事というと、多くの人は「3K」のイメージが強いでしょう。
実際に給与水準は他業種と比べると高くありませんし、激務で特に腰を痛める人が後を絶たないという状況で辞めていく人も多いのです。
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介護福祉士になるための受験資格も厳しく
介護福祉士を希望する人が減っているのは、介護職の不人気ということだけではありません。
受験資格が厳しくなったこともその一因となっているのです。
介護福祉士になるためのルートはいくつかのルートがありましたが、中でもお金をあまりかけないものとして、3年の実務経験を経て国家試験を受験というのがメジャーです。
この方法は、資格取得者の実に9割にも上るのですが、このルートに新たに条件が加わりました。
その条件は、「実務者研修」修了者というものです。
実務者研修はほんの数日の研修というわけではなく、450時間という長い時間が必要な資格になります。
それだけの時間ですから、費用もかかりますし手間もかかりますので、介護福祉士の資格を取得しようとする人が激減しているわけです。
背景には介護職の高齢者への虐待などがあるでしょうから、仕方ない面はあるのですが。
そんななり手の少ない介護福祉士ですから、外国人で補おうというのが介護の輸入という側面です。
言葉の壁や文化の壁もあるでしょうが、政府は外国人介護士の導入を積極的に推し進めようとしています。
今後さらに深刻になる高齢化を考えると、猫の手も借りたいような状況ですからね。
周辺アジア諸国では急速に高齢化
日本だけでなく周辺のアジア諸国では急速に高齢化社会が進展しようとしています。
急速に高齢化が進むアジア地域 韓国は日本以上の速さで進行か – ライブドアニュース
例えば韓国、シンガポール、中国などです。
韓国の現在は高齢化率は13.1%ですが、2060年には37.1%に達するという推計されています。
たしかに日本の2060年の高齢化率の推計は韓国以上なのですが、現在の高齢化率の違いを考えると、韓国の高齢化率のスピードは際立っています。
また、2060年の高齢化率はシンガポールが36.3%、中国32.9%という推計になっています。
現在よりも20数ポイント上昇するわけですから、事態は深刻ですね。特に中国は人口自体が大きいですから。
日本の一足早い高齢化はアジア諸国のお手本に
日本は世界に類を見ない速さで高齢化が進んでいるわけですが、その経験は今後のアジア諸国の急激な高齢化のお手本となるでしょう。
実際に政府も「アジア健康構想」という方針を立て、日本の介護技術や介護システムをアジア諸国に輸入するような方策を推し進めようとしています。
その1つが日本で外国人の介護人材の受け入れです。
外国人介護士を受け入れることが、なぜ日本の介護システムの輸出につながるかというと、日本で学んだ介護を本国に持ち帰り、日本のシステム導入を円滑化してくれる役割が期待されるわけです。
近年は従来競争力を持っていた産業がどんどん衰退していく日本ですが、高齢化社会という一見すると弱点をお金に変えていこうという試みは好感が持てます。
結局介護の国際化は実現する?
介護の国際化というとかなりハードルが高そうな印象を持つ人も多いでしょう。
例えば、日本への外国人介護士の受け入れに関しても、外国人との交流が少ない日本人の間では反対も根強いです。
また、アジア諸国も現在は高齢化率が高くないため、人々の高齢化に対する危機感も希薄です。
となると介護の国際化はそれほど進まないとも思えます。しかし、事態の急速な変化によってどうしても介護の国際化が必要な時代がやってくるような気がします。
それは、日本の介護人材の不足の深刻さからも今後外国人介護士が大量に必要になってくるでしょう。
また、アジア諸国の急激な高齢化は、一足早く経験をした日本のシステムや技術を頼らないといけないときが来るのではないかと思われます。
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